アドビは、時間のかかる制作作業を自動化する新しいAIコンテンツ作成ツールを発表しました。これらのツールは、画像の一括編集やビデオプレゼンテーションの翻訳など、これまで多くの時間を要していた作業を自動化します。中でも注目すべきは、「Firefly Bulk Create」です。このアプリケーションを使用すると、ユーザーは最大10,000枚の画像のサイズ変更や背景の置き換えを、1回のクリックで迅速に行うことができます。従来のように、画像を1枚ずつ手作業で編集する必要はありません。
Firefly Bulk Createの注目機能
このツールは、開発者向けの複数のFirefly APIを組み合わせることで開発されました。プログラミングの経験がないクリエイターでも簡単に使用できるようにすることを目的としています。現在、Bulk Createはベータ版としてリリースされており、Fireflyウェブアプリケーション上で「Remove Background」と「Resize」の2つの独立したツールに分かれています。
Remove Background(背景の削除)
- ユーザーは、コンピュータ、Dropbox、またはAdobe Experience Managerから画像をこのツールにアップロードして、背景をすばやく削除できます。
- このツールはあらゆる種類の画像でうまく機能し、特に製品マーケターにとって便利です。
- 背景を削除するだけでなく、ユーザーは背景を特定の画像または色(HEXコードで定義)に置き換えることもできます。これにより、さらに編集できる画像のバリエーションを簡単に作成できます。
- 画像ファイルはPNGまたはJPEG形式で保存できます。アドビは、将来的にPSD形式もサポートする予定であると述べています。
Resize(サイズ変更)
- このツールは、TikTok、Instagram、Facebookなどの一般的なプラットフォームに適した、既定のサイズオプションを提供します。
- AIを使用して画像の背景を拡張し、必要なサイズに合わせます。ただし、デモでは、このツールは複雑な画像を処理する際にまだ制限があり、歪みやぼやけが発生しやすいことが示されています。
- それでも、シンプルな背景の画像であれば、このツールはグラフィックデザイナーが各プラットフォームに合わせてサイズを手動で調整する時間を節約するのに役立ちます。
開発者向けの新しいAPI
Bulk Createに加えて、アドビは今後数週間のうちに、ビデオ制作と印刷プロセスを高速化する、いくつかの新しいAPIをリリースする予定です。
- Dubbing and Lip Sync(吹き替えとリップシンク): このAPIを使えば、ビデオの音声を14の言語に翻訳し、それに合わせて口の動きを自動的に調整することができます。
- テキストと画像の自動フォーマット: InDesignに搭載される新しいツールは、既存のテンプレートに基づいて、印刷物とデジタルメディアのテキストと画像を自動的にフォーマットします。
- デジタルアバター: 今月中にベータ版が公開予定のこの機能では、テキストの説明と音声録音に基づいてアバターを作成し、表情豊かな製品紹介ビデオを制作することができます。
コストとリソース消費
最大10,000枚の画像を編集できるこのツールの運用には、当然ながら費用がかかります。アドビは、ユーザーが「消費量」に基づいて使用料を支払う必要があると述べています。これは、Adobe Firefly Premiumプランに登録する必要があることを意味します。このプランでは、ユーザーがこれらの機能に利用できるAIクレジット(generative credits)が提供されます。
Firefly Bulk Createは、クリエイターが複雑な制作プロセスにおいて時間と労力を節約できる画期的なツールとなることが期待されています。しかし、ユーザーは料金とリソース消費量を考慮する必要があります。